土曜日, 1月 26, 2019

映画など

Huluの契約をしていて、当初はあんまり利用してなかったけど、寒くなってからちょいちょい映画を見るようになったので、見た映画について記録していこうかと思い立った。

最後まで見たもの

メメント

変なタイトルと独特のポスターのグラの雰囲気から、カルトぽい作品なのかなと思ってなんとなく見始めた。

10分しか記憶が維持できない男が、妻を殺した相手に復讐をしようという話で、記憶を維持するために、メモとポラロイドカメラと刺青を利用して、犯人を追い詰めようとするミステリー。

カルト的と言われるようなタイプの意味不明な作品ではなく、とても緻密なギミックに満ちたミステリーだった。

ただ、分かりやすくはない。仕組みを理解するのにちょっと時間がかかった。メモや記録を元に、時間が遡っていく形で出来事が紹介される。

え、どういう事?あーそういうことだったのか、と、ストーリーが結果から原因へと遡って行くのだ。

ただ、この分かりにくさは、逆に、映画に引き込まれて集中力を高める効果があったように思う。前に戻っていく事によって、原因がわかるようになっているため、疑問が置き去りにされることがないのだ。

序盤は、不幸な男の復讐劇の方法と意思の固さに驚かされた、が、克明な記録に思えたものにほころびが見え始めたあたりから、だんだんと雲行きが怪しくなってくる。

度々途中で挟まれる、主人公が保険調査員だった頃調査した、短期記憶を失った男の話は、主人公の後悔や心の拠り所なのだろうかと思っていたら、思わぬ形で終末に関わって来たのには驚いた。叙述トリック的というのだろうか。

そして、衝撃のラスト。最初のシーンの意味がここで初めて明らかになる。

都合の悪い真実を本当に忘れることができるとき、その時感じた悪意を忘れる前提で達成するということ。

とても面白い映画だった。

嫌われ松子の一生

面白い映画ではあった。が、あまり好きになれない。救いがないというよりも、物理的にも、心理的にも、とても痛そうなのが見ててつらい。

ギャグっぽい演出に使われたシーンは、昔のサイケとかそういった雰囲気なのだろうか。松子の子供時代から殺される50代後半ぐらいまでと描かれている時代が長いので、その当時の流行みたいなのを意識した演出だったのかもしれない。妙に懐かしい雰囲気が出ていた。

この映画を見て、中谷美紀という女優さんの名前を覚えた。素晴らしい演技だったと思う。

イレイザーヘッド

パッケージの写真を色んな所で見た覚えのある映画だったので、こういうのこそ決してDVDを借りて見ることはないはずだから、Huluで見るのにピッタリなのかもしれないと思った。

この映画に関しては、予習をした(wikipediaで調べてみた)ので、監督が、ツインピークスのデヴィット・リンチのデビュー作だという事、奇妙な子供を育てる事になる男の話であるということ、カルト映画の代表と言われているという事を知った上で見始めた。

あれを難解だと感じるのは、子供を育てた事がない人じゃないかなと、少し思った。

奇妙な子供は、手も足も使えずただ泣くだけの赤ん坊のメタファーそのものだった。目の動きや笑い声に、見る側が勝手に意味を見出すあたりも、とても赤ん坊的だと思った。そして、あのにゅるにゅるは、たぶん精子。

身も蓋もない言い方をするなら、大人になりきれていない男の現実逃避的な心象風景で、だからこそ不安定さやグロテクスさに満ちているのだろう。

カルト映画なのだから、しっかり理解する必要もないだろうし、私が分かりやすいところに落とし込んだだけで、実は難解な作品なのかもしれないけどね。

この監督の作品は、ツイン・ピークスしか見てないけど、意味深で不気味な演出や、不安を煽る独特のセンス等、意味不明でも見ているものを引き付ける力がすごいな思う。映画ならではの表現に満ちていると思った。

それにたぶん、大筋よりも、ディティールを楽しんで、深読みするのがこういった映画の正しい楽しみ方なんじゃないかとも思える。

冒頭のガッチャンの人は、あれは赤ん坊を世界に落とし込む神のメタファーだろうか。それとも実は、宇宙人が精子に何かしてあんなグロテスクな赤ん坊を地球に落とし込んだのだろうか。現実と心象風景が交錯する映画なので、どのようにでも取れるあたりも魅力なんだろうな。

それからタイトルになったイレイザーヘッド。なんで消しゴムなのか。土を部屋に持ち込んだ観葉植物や、廃工場、ほっぺちゃん、なめくじ。

印象的なディテールがどのシーンにも散りばめられていて、見といて損はない映画だとおもった。

0 件のコメント: